虚構シリーズ 瓦解
しばらく目の調子が悪かったので耳ならいいだろ!ということで歌をいろいろ聴いてたんですが、ボカロ嫌いな人には微妙かもしれませんが巡音ルカの『RIP=RELEASE』という曲にちょっとはまりました。
再生数も多いのでニコニコ見たことある人だったらご存知かもしれませんが。
↓こんな曲です。ステキな歌なんで興味ある方はぜひ聞いてみて下さい。
んでコレを聞きながら曲をイメージした話をつくろうと思ったんですが、一から設定を考えると大変なので"虚構"の設定を利用してつくってみました。
虚構を読んでないとよくわかりにくいかもしれません。
更にクイックが病んでます。
しかし虚構なんだかなんだかよくわからない感じになってしまったのでなんでもOKという心の広い方のみ続きからお読みくださるようお願いいたします。
再生数も多いのでニコニコ見たことある人だったらご存知かもしれませんが。
↓こんな曲です。ステキな歌なんで興味ある方はぜひ聞いてみて下さい。
んでコレを聞きながら曲をイメージした話をつくろうと思ったんですが、一から設定を考えると大変なので"虚構"の設定を利用してつくってみました。
虚構を読んでないとよくわかりにくいかもしれません。
更にクイックが病んでます。
しかし虚構なんだかなんだかよくわからない感じになってしまったのでなんでもOKという心の広い方のみ続きからお読みくださるようお願いいたします。
瓦解
がらくた。
がらくたのやま。
これは何?
ばらばらのケーブルにボルト、ナット。
何かの金属片。
これは?
手、のような部分。
あ、これは。
きっと、たぶん。
ロボットだったもの。
だってほらあそこにあるのは頭だろう。
これは。
これはフラッシュ。
フラッシュだったもの。
なぁ、フラッシュ。
今なら抱きしめても文句も言われないな。
あの蔑むような視線も。
もう、これで、これからは。
ずっとずっと、俺の、俺だけの…
もう……はな…さ………な……………
パシンと、どこかで音がしたような、そんな感覚でスリープモードが解除された。
何…なんだったんだ今の…
どこか見慣れたようなガラクタの山で。
俺が壊していたのは…誰だった…?
俺は…俺がフラッシュを…
目を覚ましたそこはいつもの自分の部屋で。
いつも通りフラッシュは居ない。
けど今日はフラッシュが居なくて本当に良かったと思う。
まさか自分の手でフラッシュを破壊するだなんて。
ああいうのを夢というのだろうか。
夢というのは人間が記憶を寝ている間に再整理するための機能だという。
でもあれは実際にあったことじゃない。
記憶じゃない。
だってフラッシュは。
フラッシュは…
見ていたのは夢のはずなのに言い知れない何か、例えて言うなら不安のようなあいまいな何かがコアを占めていく。
記憶の再整理?
俺はまさか、フラッシュを壊し…
ウソだ。
ウソだ!
違う、違う、あんな…自分だけのものにしたいだなんて…俺はそんなこと…
目を閉じても、視覚センサーをオフにしても何故か先ほどの夢であるはずの映像は、ガラクタになったロボットの瓦礫のなかでフラッシュの頭部を抱きしめる狂気にそまった自分は、より鮮明になるばかりで。
考えるよりも先に俺はフラッシュの部屋に向かって走っていた。
鍵もかかっていないそのドアは易々と開いて、真っ暗なその部屋の中にあるべき主の姿はない。
冷静に考えれば普通にその日は帰ってきていなかったのだとか、他の兄弟の部屋で寝ているかもしれないだとか、そんなことも思いついたのかもしれない。
でもその時は電脳の中は壊れたフラッシュのデータで占められていて、他の可能性をはじき出す余地もなかった。
居ない。
居ない?
俺が…やっぱり俺がフラッシュを壊した…のか?
なんで、どうして。
ドアのところで立ち尽くして、暫くそのまま時間が経った後、背後に何かの気配を感じて咄嗟にブレードを構えた。
そのまま振りかえって薙ぎ払うとギィン!という鈍い音と共に背後の何かにブレードをはじかれた。
はじく?
俺のブレードをはじくなんてそんなことは。
「おい、クイック」
できないはずだ。
だって俺の武器を回避できるのは。
「クイック!」
「あ…フラッシュ…?」
「ちっ…戦闘モードが抜けきってねぇな」
「フラッシュは…壊れ…俺が…ウソだ…」
再度構えようとしたブレードをバスターで叩き落とされて。
そのまま思いっきり腕を引いてフラッシュの顔が間近に見える位置まで引き寄せられた。
「ラリってんじゃねぇ。勝手に人を壊すんじゃねぇよ」
「フラッシュ…?」
これは、フラッシュなのか?
ああでも抱きしめているときは決して俺にみせることのなかったあの冷たい視線。
夢とは違う。
記憶ではない?
ここは現実か。
フラッシュ、壊れてなかった…の…か…………………
現実だと認識できたはずなのに世界はもう一度暗転した。
もう一度スリープモードから回復したとき、俺はメンテ台の上に寝ていた。
さっきまでのこと、どこからどこまでが夢だったのかよくわからない。
フラッシュを壊した夢を見て…それで…
「おい」
ゆるゆると上半身だけ起こして状況を整理しようと思ったのに、後ろからかけられた声にびくりと肩をすくめてしまった。
怒気を含んでいるわけでもない。
それなのにそんな短い言葉でもフラッシュの声だと認識できてしまったから。
振り返ってフラッシュの存在を確認することが恐ろしかった。
夢の映像はまだ消えてくれてはいない。
「お前何してたんだ」
無理やり顎を掴まれてフラッシュのほうを向かされた。
動いている。
喋っている。
壊れていない。
壊していない。
俺は、フラッシュを壊してなんかいない。
悲しいわけではなかった。
ただ自分でも理解できない感情が自分の中に渦巻いて。
整理しきれなかったそれがあふれ出してしまっていた。
振り向いてフラッシュの顔を凝視したまま、目からこぼれる涙を止めることができなかった。
同時にキリキリとコアに痛みが走る。
コワシテシマエバ
ソレハオマエダケノモノ
ウゴカナクナッテシマエバ
エイエンニオマエノテノナカニ
無意識に伸ばした手を掴まれる。
掴まれてはじめて自分が手を動かしていたという事実に気づいたほどに。
「俺の言葉が聞こえてるか?理解できるか?」
気づいたらフラッシュに抱きしめられていた。
さっき俺の手を掴んだときにそのまま抱き寄せた、らしい。
わからない。
本当に気がついたら、だったから。
この位置からでは頷いてもわからないだろうと思って返事をした。
返事をしたつもりではあったけど声に、音になっていただろうか。
フラッシュはそのまま俺の聴覚センサーにゆっくりとした口調で話しかけてきた。
理解できている、と頷きはしたが俺の電脳はいまだ混乱したままだ。
暴走しないのが奇跡みたいなものだったのかもしれない。
それはフラッシュが抱きしめてくれていたから。
多分俺が暴走しないように押さえていただけなのかもしれなかったけど。
それでも、そんなことにさえ。
「クイック、今何が見える?」
今?
今もさっきもずっと同じ、壊れたフラッシュを腕に抱く自分。
上手く説明はできない。
とにかく今見えるもの、わかっていること。
少しづつ話せるだけ話していった。
「一般的なロボット心理学に当てはめるしかないのが心許ないが調べてる暇はねぇ。クイック、よく聞けよ。おそらく今、お前の精神プログラムは限界に近づいている。このまま崩壊してしまえば再構築は難しいだろう」
壊れる?
俺が壊れるのか。
コアが痛いから?
この痛みは壊れるっていうことなんだろうか。
でもそんな痛みはずっと前からあったのに。
フラッシュを好きになったときからずっと、ずっと。
「ま、お前のこと好き勝手に扱ってきた俺が言えたギリじゃねぇけど。俺だってさすがにDWNの一員であるお前を壊すのがまずいってことくらいはわかってる。戦略的にもお前は重要な位置を占めてるしな。
だからこのままだとお前が壊れるってのならこの関係を解消してやってもいい」
「かい…しょう…?」
「そう、俺とお前の間には何もなかったことにしてやる」
何も、何もなかったら、俺はフラッシュの中でどうなるんだろう。
こんなことになる前は、どうしてたんだろう。
思い、出せない。
「こうなる前はほとんどまともな会話もなかったわけだしな。係わり合いにならなきゃいいだけだ。簡単だろう?」
そう、だ。
思い出せないんじゃない。
何もなかったんだ。
何も。
ただクラッシュと、ヒートやウッドと楽しそうに笑うフラッシュを見つめるだけの日々。
恋焦がれるだけの日々。
触れるどころか会話すら…
嫌、嫌だ。
そんなのは嫌だ。
最初は酷くされたら嫌いになれるかもしれないと思ったこともあった。
でもそんなことはなかった。
どんなに酷くされても、どんなにコアが軋むような痛みを訴えても、嫌いになるどころか抱かれるたびに好きになっていくばかりだった。
好き、好き、フラッシュが好き。
その気持ちをとめることなんてできなかった。
もう俺の電脳の中はそれでいっぱいになってしまうほどに。
コアの軋みなど聞こえないほどに頭の中に好きという言葉が鳴り響く。
傍にいたい。
傍にいてほしい。
でもそうしたら俺は壊れるのか。
俺はお前の玩具にすらなれないのか?
どうして、ただ傍にいたかっただけだったのに。
コワシテシマエバ
ソレハオマエダケノ…
あ、また聞こえる。
この声、音?
ああ、そうか。
また涙が止まらなくなってる。
もう俺の意思じゃどうしようもないのかもしれない。
フラッシュの傍に居られなくなることなんて考えられない。
無関係になってしまうなんて嫌だ。
離れたくなくて緩く首を振るとフラッシュは驚いたように俺の顔を見た。
そうだよな。
フラッシュにとってはこんなのただ快楽を得るためだけの関係なんだから。
ああ、破壊衝動の解消だったっけ。
そんなことで壊れてしまうなんてくだらないと思ったんだろう。
だから俺のことも、俺との関係も、フラッシュにとってはDWNの戦闘用機体を一体失うことに比べれば簡単に手放してしまえる程度のことなんだろう。
なんで俺が首を振ったかなんてきっとわからないんだろう。
わかってほしいとも思わない。
その時点でもまた、この関係は終わってしまうんだから。
どうせ、どうせ叶わないのなら、こんな気持ち、こんな心壊れてしまえばいい。
壊れたって構わない。
でもどうせなら。
どうせ壊れるなら。
フラッシュ、お前に。
「壊して…?」
フラッシュの顔をこんな近くでゆっくりと見れたのは本当に久しぶりだ。
久しぶりというかはじめてかもしれないな。
せっかくフラッシュが俺の方を凝視してくれているんだから、目いっぱいの笑顔にしておいた。
なぁ、フラッシュ。
お前が俺を壊したら。
俺がお前に壊されたなら。
俺はお前の、お前だけのモノになれる?
おしまい
読みにくい文章にお付き合いいただきましてありがとうございました。
久しぶりに更新したかと思ったらこれかよ!という感じですよね、はい、反省します。生かされはしないかもしれません。
最初は別に通常でやろうとおもったんですけどなんかマイナスオーラに満ち溢れていたのでアナザーにもってくることにしました。
こういう心の病みっぷりを遺憾なく発揮してる話とか大好きなんですごめんなさい。
前なんかクラッシュで似たようなのを書いたような気もしますが…
とりあえずメインの部分とは別なので軽くおやつ程度に思っていただければ幸いでございます。
がらくた。
がらくたのやま。
これは何?
ばらばらのケーブルにボルト、ナット。
何かの金属片。
これは?
手、のような部分。
あ、これは。
きっと、たぶん。
ロボットだったもの。
だってほらあそこにあるのは頭だろう。
これは。
これはフラッシュ。
フラッシュだったもの。
なぁ、フラッシュ。
今なら抱きしめても文句も言われないな。
あの蔑むような視線も。
もう、これで、これからは。
ずっとずっと、俺の、俺だけの…
もう……はな…さ………な……………
パシンと、どこかで音がしたような、そんな感覚でスリープモードが解除された。
何…なんだったんだ今の…
どこか見慣れたようなガラクタの山で。
俺が壊していたのは…誰だった…?
俺は…俺がフラッシュを…
目を覚ましたそこはいつもの自分の部屋で。
いつも通りフラッシュは居ない。
けど今日はフラッシュが居なくて本当に良かったと思う。
まさか自分の手でフラッシュを破壊するだなんて。
ああいうのを夢というのだろうか。
夢というのは人間が記憶を寝ている間に再整理するための機能だという。
でもあれは実際にあったことじゃない。
記憶じゃない。
だってフラッシュは。
フラッシュは…
見ていたのは夢のはずなのに言い知れない何か、例えて言うなら不安のようなあいまいな何かがコアを占めていく。
記憶の再整理?
俺はまさか、フラッシュを壊し…
ウソだ。
ウソだ!
違う、違う、あんな…自分だけのものにしたいだなんて…俺はそんなこと…
目を閉じても、視覚センサーをオフにしても何故か先ほどの夢であるはずの映像は、ガラクタになったロボットの瓦礫のなかでフラッシュの頭部を抱きしめる狂気にそまった自分は、より鮮明になるばかりで。
考えるよりも先に俺はフラッシュの部屋に向かって走っていた。
鍵もかかっていないそのドアは易々と開いて、真っ暗なその部屋の中にあるべき主の姿はない。
冷静に考えれば普通にその日は帰ってきていなかったのだとか、他の兄弟の部屋で寝ているかもしれないだとか、そんなことも思いついたのかもしれない。
でもその時は電脳の中は壊れたフラッシュのデータで占められていて、他の可能性をはじき出す余地もなかった。
居ない。
居ない?
俺が…やっぱり俺がフラッシュを壊した…のか?
なんで、どうして。
ドアのところで立ち尽くして、暫くそのまま時間が経った後、背後に何かの気配を感じて咄嗟にブレードを構えた。
そのまま振りかえって薙ぎ払うとギィン!という鈍い音と共に背後の何かにブレードをはじかれた。
はじく?
俺のブレードをはじくなんてそんなことは。
「おい、クイック」
できないはずだ。
だって俺の武器を回避できるのは。
「クイック!」
「あ…フラッシュ…?」
「ちっ…戦闘モードが抜けきってねぇな」
「フラッシュは…壊れ…俺が…ウソだ…」
再度構えようとしたブレードをバスターで叩き落とされて。
そのまま思いっきり腕を引いてフラッシュの顔が間近に見える位置まで引き寄せられた。
「ラリってんじゃねぇ。勝手に人を壊すんじゃねぇよ」
「フラッシュ…?」
これは、フラッシュなのか?
ああでも抱きしめているときは決して俺にみせることのなかったあの冷たい視線。
夢とは違う。
記憶ではない?
ここは現実か。
フラッシュ、壊れてなかった…の…か…………………
現実だと認識できたはずなのに世界はもう一度暗転した。
もう一度スリープモードから回復したとき、俺はメンテ台の上に寝ていた。
さっきまでのこと、どこからどこまでが夢だったのかよくわからない。
フラッシュを壊した夢を見て…それで…
「おい」
ゆるゆると上半身だけ起こして状況を整理しようと思ったのに、後ろからかけられた声にびくりと肩をすくめてしまった。
怒気を含んでいるわけでもない。
それなのにそんな短い言葉でもフラッシュの声だと認識できてしまったから。
振り返ってフラッシュの存在を確認することが恐ろしかった。
夢の映像はまだ消えてくれてはいない。
「お前何してたんだ」
無理やり顎を掴まれてフラッシュのほうを向かされた。
動いている。
喋っている。
壊れていない。
壊していない。
俺は、フラッシュを壊してなんかいない。
悲しいわけではなかった。
ただ自分でも理解できない感情が自分の中に渦巻いて。
整理しきれなかったそれがあふれ出してしまっていた。
振り向いてフラッシュの顔を凝視したまま、目からこぼれる涙を止めることができなかった。
同時にキリキリとコアに痛みが走る。
コワシテシマエバ
ソレハオマエダケノモノ
ウゴカナクナッテシマエバ
エイエンニオマエノテノナカニ
無意識に伸ばした手を掴まれる。
掴まれてはじめて自分が手を動かしていたという事実に気づいたほどに。
「俺の言葉が聞こえてるか?理解できるか?」
気づいたらフラッシュに抱きしめられていた。
さっき俺の手を掴んだときにそのまま抱き寄せた、らしい。
わからない。
本当に気がついたら、だったから。
この位置からでは頷いてもわからないだろうと思って返事をした。
返事をしたつもりではあったけど声に、音になっていただろうか。
フラッシュはそのまま俺の聴覚センサーにゆっくりとした口調で話しかけてきた。
理解できている、と頷きはしたが俺の電脳はいまだ混乱したままだ。
暴走しないのが奇跡みたいなものだったのかもしれない。
それはフラッシュが抱きしめてくれていたから。
多分俺が暴走しないように押さえていただけなのかもしれなかったけど。
それでも、そんなことにさえ。
「クイック、今何が見える?」
今?
今もさっきもずっと同じ、壊れたフラッシュを腕に抱く自分。
上手く説明はできない。
とにかく今見えるもの、わかっていること。
少しづつ話せるだけ話していった。
「一般的なロボット心理学に当てはめるしかないのが心許ないが調べてる暇はねぇ。クイック、よく聞けよ。おそらく今、お前の精神プログラムは限界に近づいている。このまま崩壊してしまえば再構築は難しいだろう」
壊れる?
俺が壊れるのか。
コアが痛いから?
この痛みは壊れるっていうことなんだろうか。
でもそんな痛みはずっと前からあったのに。
フラッシュを好きになったときからずっと、ずっと。
「ま、お前のこと好き勝手に扱ってきた俺が言えたギリじゃねぇけど。俺だってさすがにDWNの一員であるお前を壊すのがまずいってことくらいはわかってる。戦略的にもお前は重要な位置を占めてるしな。
だからこのままだとお前が壊れるってのならこの関係を解消してやってもいい」
「かい…しょう…?」
「そう、俺とお前の間には何もなかったことにしてやる」
何も、何もなかったら、俺はフラッシュの中でどうなるんだろう。
こんなことになる前は、どうしてたんだろう。
思い、出せない。
「こうなる前はほとんどまともな会話もなかったわけだしな。係わり合いにならなきゃいいだけだ。簡単だろう?」
そう、だ。
思い出せないんじゃない。
何もなかったんだ。
何も。
ただクラッシュと、ヒートやウッドと楽しそうに笑うフラッシュを見つめるだけの日々。
恋焦がれるだけの日々。
触れるどころか会話すら…
嫌、嫌だ。
そんなのは嫌だ。
最初は酷くされたら嫌いになれるかもしれないと思ったこともあった。
でもそんなことはなかった。
どんなに酷くされても、どんなにコアが軋むような痛みを訴えても、嫌いになるどころか抱かれるたびに好きになっていくばかりだった。
好き、好き、フラッシュが好き。
その気持ちをとめることなんてできなかった。
もう俺の電脳の中はそれでいっぱいになってしまうほどに。
コアの軋みなど聞こえないほどに頭の中に好きという言葉が鳴り響く。
傍にいたい。
傍にいてほしい。
でもそうしたら俺は壊れるのか。
俺はお前の玩具にすらなれないのか?
どうして、ただ傍にいたかっただけだったのに。
コワシテシマエバ
ソレハオマエダケノ…
あ、また聞こえる。
この声、音?
ああ、そうか。
また涙が止まらなくなってる。
もう俺の意思じゃどうしようもないのかもしれない。
フラッシュの傍に居られなくなることなんて考えられない。
無関係になってしまうなんて嫌だ。
離れたくなくて緩く首を振るとフラッシュは驚いたように俺の顔を見た。
そうだよな。
フラッシュにとってはこんなのただ快楽を得るためだけの関係なんだから。
ああ、破壊衝動の解消だったっけ。
そんなことで壊れてしまうなんてくだらないと思ったんだろう。
だから俺のことも、俺との関係も、フラッシュにとってはDWNの戦闘用機体を一体失うことに比べれば簡単に手放してしまえる程度のことなんだろう。
なんで俺が首を振ったかなんてきっとわからないんだろう。
わかってほしいとも思わない。
その時点でもまた、この関係は終わってしまうんだから。
どうせ、どうせ叶わないのなら、こんな気持ち、こんな心壊れてしまえばいい。
壊れたって構わない。
でもどうせなら。
どうせ壊れるなら。
フラッシュ、お前に。
「壊して…?」
フラッシュの顔をこんな近くでゆっくりと見れたのは本当に久しぶりだ。
久しぶりというかはじめてかもしれないな。
せっかくフラッシュが俺の方を凝視してくれているんだから、目いっぱいの笑顔にしておいた。
なぁ、フラッシュ。
お前が俺を壊したら。
俺がお前に壊されたなら。
俺はお前の、お前だけのモノになれる?
おしまい
読みにくい文章にお付き合いいただきましてありがとうございました。
久しぶりに更新したかと思ったらこれかよ!という感じですよね、はい、反省します。生かされはしないかもしれません。
最初は別に通常でやろうとおもったんですけどなんかマイナスオーラに満ち溢れていたのでアナザーにもってくることにしました。
こういう心の病みっぷりを遺憾なく発揮してる話とか大好きなんですごめんなさい。
前なんかクラッシュで似たようなのを書いたような気もしますが…
とりあえずメインの部分とは別なので軽くおやつ程度に思っていただければ幸いでございます。